A fantasy novel by Shirai Nagi

世界の
半分は青

HALF OF THE WORLD IS BLUE

心が読める僕に、

君の心だけが聞こえない。

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COMPLETE全10章

魔法が息づく異世界と、現代の東京。

聞こえない心を、
想像する。

幼い頃の事故をきっかけに、他人の心の声が聞こえるようになった魔法使いの少年・奏。嘘も好意も悪意も、聞こうとしなくても伝わってくる。だから彼は、誰にも本心を見せず、力も人付き合いも半分だけで生きてきた。

ただ一人、幼なじみの少女・蒼の心だけは何も聞こえない。共存を学ぶために向かった東京で、離れていた三か月が二人の世界を変えていく。

世界が半分になったのではない。
自分の中から、一番大切な半分が、東京へ行ってしまった。

ふたりの魔法使い

知ることと、信じること。その間に立つ二人。

黒髪と濃紺のコートを身につけた奏の高解像度アニメキャラクターイラスト
K / 01

KANADE

かなで

19歳。人の心の声を聞き、歌で感情と魔力を動かす魔法使い。すべてを知ることに疲れ、いつも「半分だけ」で生きてきた。

心の声 / 感情を動かす歌
長い銀髪と白青の衣装を身につけた蒼の高解像度アニメキャラクターイラスト
A / 02

AOI

あおい

奏の幼なじみ。壊れたものに残る記憶を読み、その欠片を縫い合わせる魔法を持つ。彼女の心だけは、奏にも聞こえない。

残された記憶 / 欠片を縫う魔法

ふたつの世界が、
ひとつの青でつながる。

LUMIERA

魔法国リュミエラ

魔法が暮らしの一部として息づく国。北端のラト村では、空と青鐘湖が世界を青く染める。

TOKYO

現代の東京

光と雑音と無数の心が交差する街。魔法使いは銀の腕輪を着け、管理される力として生きる。

COMPLETE STORY · 10 CHAPTERS

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LATO VILLAGE / TRANSFER PLATFORM

第1章

半分だけの少年

世界が半分になったのではない。大切な半分が、東京へ行ってしまった。
青い転移列車を見送る奏と、窓から手を振る蒼のアニメイラスト
ILLUSTRATION · CHAPTER 01

ラト村の朝は、青鐘湖から届く風の匂いで始まる。奏には、その風より先に村人たちの心が聞こえた。パン屋の焦り、門番の眠気、見送りに集まった子どもたちの好奇心。言葉にされない声が、いつも空気を満たしている。

転移列車の前に立つ蒼だけは静かだった。銀色の髪を耳へかけ、銀の腕輪を確かめる横顔から、奏は何ひとつ読み取れない。幼い頃から変わらない沈黙は、彼にとって唯一の安らぎであり、いちばん怖い謎でもあった。

『三か月だけだから』と蒼は笑った。奏も笑い返したつもりだったが、松葉杖を握る手には力が入った。行かないで、という言葉は声にならない。心が聞こえるせいで本音を避けてきた彼は、自分の本音さえうまく口にできなかった。

列車が青い光へ溶ける。窓の向こうで蒼が小さく手を振った。光が消えたあと、奏の耳には村じゅうの心が戻ってきた。それなのに世界は、ひどく静かだった。

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THE OTHER HALF OF THE WORLD

世界の残り半分へ。

聞こえないから、想像できる。
知らないから、信じることができる。

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